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01:『逢いみての』(詩:成治)


『逢いみての』

逢いみての
後の想いに
比ぶれば
今は
かなしき
蝉の声


(平成五年 やまびこ23号)


 面会に来てくれてから後の方が、
それまでの逢いたい思いが、よけいにつのる。
今迄よりもよけいに蝉の声が、かなしく聞こえる。

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02:『道の途中』(詩:成治)


『道の途中』

あしびきの山道を
歩いても
歩いても
まだ 道の途中
かなしみ
喜び
いろいろ重ねてきたけれど
まだ 道の途中
今、確かなことは
僕は 生きていると ゆうこと
これから先
何が起こるか 知れないが
神様の 沙汰が でるまで
懸命に
生きることに
がんばろうと
想う


(平成五年 やまびこ23号)
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03:『消 灯』(詩:成治)


『消 灯』

1.
もうすぐ消灯
今日も 終った
何んにもせずに
今日も 終った
薬が 効いてくる
みんな一緒に
眠るんだよね
もうすぐ消灯
いらだたしさを
眠らせて
むなしく
聴える
FMの イヤホーン
もうすぐ消灯
あいつも
あの娘も
眠るんだね

2.
もうすぐ巡回
眠った振りして
布団を被る
顔まで被る
みんなは夢の中
灯を持って
ドアの音する
もうすぐ巡回
おちこむ心を
寝つかせて
さみしく
聴える
FMの イヤホーン
もうすぐ巡回
あいつも
あの娘も
眠てんだね


(平成五年 やまびこ23号)
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04:『ありがとう』(詩:成治)


『ありがとう』

冬に ふれた「陽」に
「ありがとう」の
言葉が でるまえに
「目」が にじんだ


(平成六年 やまびこ24号)
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05:『 心 』(詩:成治)


『 心 』

心 ころころ
 ころころ 心
右へ左へ ころころ 心
 ころころ 止まらず
 ころころ 心
いつまで たっても
 ころころ 心
心 ころころ
 ころころ 心


(平成6年 やまびこ24号)

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06:『雑 詠1』(詩:成治)


『朝焼けに』

朝焼けに急ぐ旅する夏の雲






『流星に』

流星に願い込めたる院にいて






(平成六年 やまびこ24号)

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07:『雑 詠2』(詩:成治)


『グランドの』

グランドのとけゆく雪の静けさや






『天神の』

天神の梅にあわせるふたつの手






『病院を』

病院を後にする日のなごり雪






(平成六年 やまびこ25号)

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08:『雑 詠3』(詩:成治)


『初雪の』

初雪の黒髪に咲く銀の花














(平成七年 やまびこ27号)

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09:『共に生きる』(詩:成治)


『共に生きる』

犬が居て
 猫が居て
男が居て
 女が居て
子供がいて
 老人が居て
そして
 障害者が居て
みんな、支えあって
      共に生きる

------------------------

白は
 汚され
黒は
 葬られる
灰色の
 時代


(平成十二年五月 やまびこ36号)

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10:『黒 髪』(詩:成治)


『黒 髪』

ぬばたまの、君が黒髪の
  しとねにかせるこの腕の
 温もりも、まださめやらで
    きぬぎぬの別れする
ああ、君にふる雪は
   ガラス細工の花なりき
     折りなば割れるいとしさよ
      その指を切る
         かなしさよ
                (さだまさし)

------------------------

別れた妻の黒髪は、もう
 全く ないという
  あと数ヶ月の命と
    医者に言われて
  なお、生きなければならない
   その『心』は はかりしれない
     『重み』を、持っていることだろう
  一分一秒でも、長く、この世に
生きていてほしい、
     そう祈るばかりです




(平成十二年 やまびこ36号)

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11:『日 本』(詩:成治)


『日 本』

子供達の瞳が
 キラキラと
  輝くように

老人達の顔が
  ニコニコと
   ほほえむように

そんな

 『日本』で
 あって欲しい



(平成十二年 やまびこ36号)

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12:『雑 詠4』(詩:成治)


『逢いみての』

逢いみての娘だきしめ蝉の声







『夕暮れの』

夕暮れのベンチに座る夏の風








『逢いたいと』

逢いたいと葉月の時の院の中






(平成十二年 やまびこ36号)

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13:『せつない日々』(詩:成治)


『せつない日々』

去年の秋
君と交わした 言葉の数を
今、かぞえてみる

あの池のほとりで
君が語った 未来の夢を

今、ここで こうして
数えてみる

せつなさだけが
白いシーツに残る

夏 近き
病院の部屋





(平成十五年 やまびこ39号)

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